北朝鮮情勢が緊張する可能性も

絶対に軽挙妄動してはならない

軍事論評員は5月9日、李リ明ミョン博バク逆徒の軍事的対決策動の真相を明らかにする次のような内容の論評を発表した。

良好に進展していた北南関係が、李明博逆徒によって解決困難な危機の局面に立ち至っている。

李明博逆徒と李明博によって構成された傀儡軍部の好戦勢力の軍事的対決騒動は、われわれに対する圧迫の度を最大限に強めるという総体的目標を掲げ、「軍事的優勢」に総力を集中して、軍事的緊張の新たな序幕を開くことから始まった。

傀儡軍部の好戦勢力は時節到来とばかりに、6・15共同宣言発表以来この10年間は本当に苦しかっただの、今こそ「軍事的優勢」によって対北圧迫を最大限に強めるべき時であるだのと御託を並べ、「先核放棄」と「改革・開放」を誘導しうる最も早い道も「軍事的優勢」にあり、われわれに対する圧迫を持続的に維持しうる潜在的な力も「軍事的優勢」にあると力説した。

最近は、「同盟」関係を中心軸として維持する「軍事的優勢」がわれわれに対するより重みのある圧迫手段となるだろうと公言し、南朝鮮とその周辺地域に米国と追随勢力の原潜を含む艦艇集団とF15K戦闘機をはじめ最新打撃飛行隊まで展開し、大規模の空中・海上打撃訓練を続けざまに行っている。

また、李明博逆徒の要請により、核爆弾を搭載した米帝侵略軍空軍の戦略爆撃飛行隊が今も、われわれの縦深対象を打撃目標に置き、南朝鮮地域への遠距離航法飛行訓練に熱を上げている。

こうした流れの中で、合同参謀本部議長を含む傀儡軍の好戦分子は、李明博逆徒の米国、日本行脚以後、「疎遠」になっていた「同盟」関係が「復元」した好機を逸してはならないと喧伝し、米国の対朝鮮政策と戦略に合わせた政治的、軍事的な「国際共助」の実現に全力を集中すると騒ぎ立てている。

最近、南朝鮮の傀儡軍部の頭目たちが毎日のように密議をこらし、主人と約束したとおりに南朝鮮を占領している米軍の縮減中止にともなう措置を講じ、米国からの軍事装備搬入の地位が高まったことに即応して、軍の「3化」すなわち「先鋭化」、「精鋭化」、「効率化」を推進しているのが、その代表的な実例である。

また、主人の要求どおりにミサイル防衛システムと「大量破壊兵器拡散防止構想」になにがなんでも加担し、国際的な対テロ戦に兵力を派遣するための実際的な準備を急いでいる。

李明博逆徒と傀儡軍部の好戦勢力の軍事的対決騒動は、情勢を意図的に緊張させ、歴史的な6・15共同宣言とその実践綱領である10・4宣言の履行を阻むものとして、いよいよ重大な段階に至っている。

南朝鮮傀儡軍の海軍参謀総長は、問題の「北方限界線」は自分たちの海上境界線だと公言してはばからず、空軍参謀総長は、「北方限界線」を中心として空中守護の任務を遂行するつもりだと力説している。

軍事的緊張と対決が激化すると衝突を招くことになり、ひいては第3の西ソ海交戦、第2の6・25戦争につながるであろう。

われわれは北南関係の発展と平和・繁栄を願っているが、決して軍事的衝突と戦争を恐れるものではない。

李明博逆徒と傀儡軍部の好戦勢力は、軍事的緊張と対決によってもたらされるのは恥ずべき破滅と墓だけであるということを肝に銘じ、絶対に軽挙妄動してはならない。

(2008年5月12日 平壌)

竹島の領有権に関する日本政府の見解

近代国際法上領土取得の要件は、国家としての領有の意思、その意思の公示、適当な支配権力の確立である。しかし、開国以前の日本には国際法の適用はないので、当時にあっては、実際に日本で日本の領土と考え、日本の領土として取り扱い、他の国がそれを争わなければ、それで領有するには充分であったと認められる。

(「竹島に関する1953年9月9日付韓国政府の見解に対する日本政府の反駁」より一部引用)

編集中

鈴木宗男君提出竹島問題に関する質問に対する答弁書

平成十八年五月十二日受領
答弁第二三六号

  内閣衆質一六四第二三六号
  平成十八年五月十二日

内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員鈴木宗男君提出竹島問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

                                                                                                            • -

衆議院議員鈴木宗男君提出竹島問題に関する質問に対する答弁書

一及び四について

 我が国は、遅くとも十七世紀半ばには、竹島の領有権を確立していたと考えられ、明治三十八年以降も、同年一月二十八日の閣議決定に基づき竹島島根県編入して竹島を領有する意思を再確認した上で、竹島を実効的に支配してきた。
 昭和二十九年以降の大韓民国による竹島の占拠は不法占拠であり、政府は、大韓民国政府に対して、累次にわたり抗議を行うとともに、竹島の領有権に関する我が国の立場を申し入れている。

二及び三について

 御指摘の「領土問題であるということを公に認めた」の趣旨が必ずしも明らかではないが、竹島に関して大韓民国との間で解決すべき領有権の問題が存在することは客観的な事実であると考える。いずれにせよ、政府としては、昭和四十年に締結された日本国と大韓民国との間の紛争の解決に関する交換公文(昭和四十年条約第三十号)にいう「両国間の紛争」には、竹島をめぐる問題も含まれると認識している。

五について

 政府としては、竹島の領有権の問題に関する我が国の立場を主張し、問題の平和的解決を図る上で、有効な方策を不断に検討していく考えである。

竹島の領有権確立時期に関する日本政府の見解は答弁書にあるように「遅くとも十七世紀半ばには、竹島の領有権を確立していた」というもので、1905年1月28日の閣議決定、同年2月22日の島根県告示第40号を以って領有権の確立とする島根県の見解とは大きく異なっています。以下が島根県竹島問題研究を行う研究スタッフなのですが、国際法を専門に研究しているような人物は存在しません。県条例が外交に与える影響の大きさなどを考えると、国際法の専門家を数人入れておくべきだと思うのですが・・・。

下條正男 拓殖大学国際学部教授
杉原隆 島根県竹島研究顧問
伊藤博敏 出雲市立高浜幼稚園長
伊藤康宏 島根大学生物資源科学部教授
内田文恵 島根県立松江工業高等学校学校司書専門員
林智美 米子市立山陰歴史館学芸員
小林准士 島根大学法文学部准教授
佐々木茂 島根県立松江東高等学校教諭
常角敏 隠岐の島町立布施中学校教頭
升田優 島根県立美術館副館長
三田清人 鳥取県立博物館長
山口修司 飯南町立頓原小学校教頭
藤田元春 隠岐の島町総務課課長補佐
藤原孝行 島根県総務部総務課長
藤原弘 島根県総務部総務課管理監

竹島問題に関する質問主意書

平成十八年四月二十四日提出

質問第二三六号

竹島問題に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男

                                                                                                    • -

竹島問題に関する質問主意書

一 竹島が我が国固有の領土である歴史的、法的根拠を明らかにされたい。
二 これまでの日本政府と韓国政府の間の外交交渉において、韓国側が竹島問題が領土問題であるということを公に認めた事例があるか。
三 一九六五年の日韓基本条約交渉において、竹島問題について両国間でどのような合意がなされたか。
四 日本は韓国に対して竹島の返還を要求しているか。
五 北方領土問題に関して、外務省は広報用冊子「われらの北方領土」を作成、配布しているが、我が国固有の領土である竹島に関しても同様の広報用冊子を作成し、配布することが適当と思料するが、政府の見解如何。

 右質問する。

北朝鮮は日本の私生児である

2・16慶祝中央報告集会が催される

2・16慶祝中央報告集会が2月15日、平壌の4・25文化会館で催された。

集会では、朝鮮労働党中央委員会政治局委員である最高人民会議常任委員会金永南委員長が祝賀報告を行った。

彼は、チュチェ思想、先軍思想の旗のもとに社会主義朝鮮の尊厳と国力を最高の水準に引き上げ、民族史にいまだかつてなかった祖国繁栄の全盛期をもたらした、金正日総書記に最大の栄光と熱烈な祝賀を送る、と指摘した。

そして、チュチェ思想を全面的に継承した金正日総書記の思想・理論において特出した位置を占めるのは 金日成主席が朝鮮革命の開拓期に打ち出し、終始一貫堅持してきた銃重視、軍事重視の思想を継承し、発展する現実の要求に即して全面的に深化、発展させたことである、と述べた。

つづいて、金正日総書記はチュチェ思想の要求に即して政治もわれわれの方式で行い、軍事と経済、文化もわれわれの方式で発展させる指導原則を確固と堅持し、人民大衆の革命的熱意と創造的積極性を余すところなく発揮するようにさせ、朝鮮を自主、自立、自衛の社会主義強国として打ち固めた、と強調した。

また、人民軍を革命の中核部隊、主力部隊としておし立て、先軍政治を全面的に施したことは、われらの革命武力を無敵必勝の革命強兵に仕立て上げるうえで決定的な意義を有したとして、金正日総書記は先軍革命指導の日々、発展する現実の要求に即して共和国の威力をさらに強化し、人民軍を中核とする革命隊伍の一心団結を固めるように導いた、と指摘した。

彼は、金正日総書記によって国際舞台において朝鮮の威信と地位、影響力と牽引力が非常に高まり、共和国の対外関係が急速に拡大発展し、朝鮮革命の国際的連帯がさらに強まった、と述べた。

また、金正日総書記の崇高な祖国統一構想が集大成されている6・15共同宣言が指し示した道に沿って、「わが民族同士」の旗を高く掲げて10・4宣言を履行し、自主統一、平和・繁栄のための民族あげての闘争によって祖国統一の歴史的偉業を必ず実現するであろう、と指摘した。

そして、朝鮮は、わが共和国を圧殺しようと執拗に策動し、懐柔と圧力の二面術策を追求している米国の二重的態度を鋭く注視しており、そのささいな敵対行動も絶対に黙過せず、より強硬な対応策をもって断固と対処していくであろう、と強調した。

(2008年2月16日 平壌)

法案のどこが問題なのか分からない

人権擁護法案、13日に議論再開 反対派が巻き返しへ

自民党で賛否を二分している人権擁護法案の今国会提出に向け、党人権調査会(会長・太田誠一総務庁長官)は13日、今年初の会合を開く。福田政権では古賀誠選対委員長や二階俊博総務会長ら推進派が党の要職を占めており、ジワジワと包囲網を構築。危機感を募らせた反対派の中川昭一政調会長らは「真・保守政策研究会」を中心に法案反対を呼びかけるなど巻き返しに懸命だ。両派の妥協点を見つけることは困難なだけに対立が激化すれば政権を揺るがす事態も招きかねない。

「なんとか穏便に進める手だてはないのか」

太田氏は5日午後、反対派の古屋圭司衆院議員らとひそかに会い、協力を呼びかけたが、古屋氏らは(1)人権侵害の定義があいまい(2)人権委員会の権限があまりに強大(3)加害者の保護が十分でない−など法案の問題点を指摘した上で「人権救済には別の手だてを講じるべきだ」と主張し、協議は平行線をたどった。

推進派は「今国会が法案成立のラストチャンス」(党幹部)とみており、人権問題調査会を今後2、3回開いた上で3月にも総務会で党の了承を取り付けたい考え。公明党は法案に概ね賛成している上、民主、社民両党などにも賛成派が多いだけに「国会に提出してしまえば何とかなる」(推進派中堅)との読みもあるようだ。

その一方、推進派は今年に入り、若手・中堅を個別に呼び出し、説得工作を続行。党4役で法案に慎重なのは伊吹氏しかいないこともあり、若手からは「本音は反対でも次の選挙を考えると党執行部に逆らえない」と悲鳴が漏れる。「4月内閣改造説」が浮上していることも「閣僚ポスト待ち」の中堅以上に重しとなっている。

危機感を強めた中川氏は15日に「真・保守政策研究会」を開き、法案の問題点を徹底検証する構えだ。中川氏は「法案の根幹に問題が多い」と考えており、推進派が多少の修正案を示しても応じることはなさそうだ。

平沼赳夫経産相(無所属)が会長を務め、休眠状態となっていた反対派議連「真の人権擁護を考える会」も活動再開に向けて動き出した。新会長には島村宜伸元文相が内定しており、1回生議員有志の議連「伝統と創造の会」(稲田朋美会長)や言論界とも連携し、反対キャンペーンを繰り広げる方針だ。

反対派は、平沼氏をパイプ役として民主党の反対派との連携も模索している。反対派の安倍晋三前首相や麻生太郎前幹事長の動き次第では、法案が政界再編に向けた動きを加速させる可能性もある。

人権擁護法案は平成14年に国会提出されたが、野党などの反対で廃案となった。17年に古賀氏らが再度国会提出を目指したが、平沼氏らの強硬な反対により頓挫した。

(2008年2月12日 産経新聞)

法案によって「表現の自由が侵される」という意見をよく目にするのですが、法案や自民党法務部会の議論を見た限りではその心配はないんじゃないかと思います。確かに第二条にある「人権侵害」の定義は「この法律において『人権侵害』とは、不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為をいう」と曖昧なものです。しかし、第三条を見てみますと、この法案で禁止される「人権侵害」がどのようなものであるかが分かります。

第三条 何人も、他人に対し、次に掲げる行為その他の人権侵害をしてはならない。

  次に掲げる不当な差別的取扱い

   国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する者としての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い

   業として対価を得て物品、不動産、権利又は役務を提供する者としての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い

   事業主としての立場において労働者の採用又は労働条件その他労働関係に関する事項について人種等を理由としてする不当な差別的取扱い(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第八条第二項に規定する定めに基づく不当な差別的取扱い及び同条第三項に規定する理由に基づく解雇を含む。)

  次に掲げる不当な差別的言動等

   特定の者に対し、その者の有する人種等の属性を理由としてする侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動

   特定の者に対し、職務上の地位を利用し、その者の意に反してする性的な言動

  特定の者に対して有する優越的な立場においてその者に対してする虐待

 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

  人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをすることを助長し、又は誘発する目的で、当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を文書の頒布、掲示その他これらに類する方法で公然と摘示する行為

  人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをする意思を広告、掲示その他これらに類する方法で公然と表示する行為

法案によって「表現の自由が侵される」というような主張を行う人達がその根拠として挙げることが多いのが、第三条第二項(イ)の「特定の者に対し、その者の有する人種等の属性を理由としてする侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動」だと思います。「特定の者に対し」て行われる、「その者の有する人種等の属性を理由」とする「侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動」をしてはならないと書いてありますので、「人種等」が何なのかを見てみたいと思います。

第二条 この法律において「人権侵害」とは、不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為をいう。
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 この法律において「人種等」とは、人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病又は性的指向をいう。

愛国心とは何ぞや

■日本本来の高貴さ取り戻すために

≪7世紀末に「国のかたち」≫

 今、行われているアメリカ大統領選の予備選挙において、候補者たちが演説でワシントンやリンカーンなど「建国の父たち」に言及しているのを耳にすることがある。アメリカ人にとって「建国の精神」を確認するのが4年に1度の大統領選ということらしいが、国を挙げて「建国の精神」に立ち返る姿はうらやましくもある。
 どこの国もそうだが、「建国の精神」は何よりも重視されるものだ。自分たちの父祖はこのような理想の下に国を作り上げたのだ、ということを折に触れて確認し、また、そこに立ち返り、「建国の精神」の発展・延長の上に今日があるのだと納得するという具合だ。

 間もなく今年も2月11日の「建国記念の日」を迎えるが、わが国の場合の「建国の精神」とは何だろうか。『古事記』『日本書紀』の伝えるところによれば、神武天皇橿原宮で即位されたことをもってわが国の建国とするが、独立宣言によってアメリカの「国のかたち」が確立したということができないのと同じように、日本の場合も神武天皇のご即位で完全に「国のかたち」が固まったとは言い難い。
 最近の研究によれば、対外的な危機を経て国家としての自立を示すために生み出された「日本」という国号や「天皇」という君主号が固まった天武天皇持統天皇の時代、すなわち7世紀の終わり辺りに日本の「国のかたち」がようやく固まったと見るようだ。

≪「公共の精神」という概念≫

 では、そこで固まった「国のかたち」、言い換えれば「建国の精神」とは何だろうか。

 本居宣長が発見し、明治の帝国憲法を起草した井上毅が再発見した『古事記』の「出雲の国の国譲り」の神話に示される、天皇統治は個人や一族の利益のために行われるものではなく優れて公共性を帯びたものであることを明らかにした「しらす」という統治理念。
 世界を家族的情愛でもって統治しようという神武天皇の「八紘一宇」の理想。豪族の私的支配を戒め、天皇を中心に国がまとまることを示した聖徳太子の十七条憲法。豪族のみならず皇族の土地まで没収した大化の改新から始まる「公地公民」。またそこにおける「天皇」という無私の地位…。

 これらから浮かび上がってくるのは「公共の精神」という概念である。
 私は最近、他を思いやり、自己犠牲をもいとわないわが国の国民性は、この建国の時代に固まった「国のかたち」のなし得るものであるという感を強くしている。
 武士が自らの特権を放棄して行った明治維新はまさに彼らの自己犠牲、「公共の精神」を重んずる姿勢によってこそなし得たものであったし、「版籍奉還」「廃藩置県」は明治版の「公地公民」と考えれば分かりやすい。
 沖縄のみならず大東亜戦争の末期に各地で起こった集団自決という悲劇もその精神の一つの表れであったろう。例えば映画『氷雪の門』が描いた樺太・真岡の電話交換手の女性9人がソ連軍の侵攻に際して集団自決した事件も、彼女たちが内地に引き揚げろとの軍の命令を拒否してまで職務を最後までまっとうしようという強い責任感の持ち主であったがゆえの悲劇だった。特攻隊の若者たちの気持ちも同じところにあっただろう。

≪自己犠牲をいとわない姿≫

 名越眞之氏の近著『品格ある日本人』(PHP研究所)に紹介されているものだが、昭和21年、食料が尽き、栄養失調になりながらもはうようにして屋久島永田岬の灯台の火を灯し続けた高橋義守さんという灯台守や、1992年、スペイン・バルセロナオリンピックのマラソンレースで後続のランナーがつまずかないようにと補給ドリンクの容器をわざわざ道からそれて脇に捨て、結果、8秒差で惜しくも銀メダルとなった有森裕子選手などなど、戦後においても他を思いやり、自己犠牲をいとわない日本人の姿はあちこちに見いだされる。
 私たちが普段、意識せず行っている思考や行動、ここに私たちの国の建国以来の「国のかたち」が投影されているとは意外なことかもしれない。しかし、わが国の歴史を振り返ってみたとき、一貫して「公共の精神」を重んずる日本人の姿が浮かび上がってくるのだ。

 私たちは知らず知らずのうちに「公共の精神」を重んずるという「建国の精神」を今も生きている。そのことを「建国記念の日」に当たって自覚することは「溶け行く日本」を再生させ、本来の「高貴な日本」に戻るためにも必要なことだと思われるのだ。(やぎ ひでつぐ=高崎経済大学教授)

(2008年2月8日 産経新聞)

八木秀次氏は「『天皇』という無私の地位」、つまりは「天皇=公」であると位置付け、沖縄などの集団自決や特攻隊を例に「公共の精神」に殉じることの重要性を説いている。この「公共の精神」を重んずるということは、「建国の精神」らしいのだが、今になってその重要性を説くということは、日本が「対外的な危機」に見舞われていると八木秀次氏が認識しているということなのだろう。

かつて古島一雄という人物がいた。戦前は犬養毅に側近として、戦後は吉田茂の相談役として活躍した言論人*1だが、彼は『信濃教育』に次のような文章を寄せている*2

現に世を挙げて今尚非常時の声が叫ばれて居るが、其非常時の正体は何であるか。非常時は解消したのかどうか。広田外相などは己の居る間は戦争はないと言ふが、己が居なくなったらどうなるのだ。常識から言へばソビエットでも米国でも先方から割りの悪い戦争をしかけて来るとも思はぬが‥‥

一方生命線だと云はれた満洲には一体いつまで注ぎ込めばよいのか、北支はドコで打切るのか、陸軍の腹芸は外務の口先の受合では安心出来ぬ。‥‥単純なる右翼論者は純情一点張りで中には神話時代の政治を行はんとするやうな議論を平気に唱へて居る者もあれば、甚だしきは忠君愛国を一手専売の如く振舞ふ者さえある

文中の「ソビエット」と「米国」をそれぞれ「ロシア」と「中国」、「満州」を「北朝鮮」にでも読み替えれば、今でも通りそうな文章である。保守言論人というのは、古島一雄の時代から全く成長していないことが分かる文章でもある。私はどちらかと言えば保守的な考えの持ち主であるのだが、「日本のため」だの「国益」だのと叫びながら、その実やっていることは日本の国益(国民益)を損なうような行動をする最近の保守政治家、言論人を信用していない。彼らの唱える軽薄な「国益」や「伝統」、「名誉」とやらは捨ててしまえばいい、と思っている。

うーむ、堅苦しいなぁ(・ω・`