このダイアリーについて

気の向くままに色々書いていく予定。このダイアリーによって誰かを啓蒙しようとか、世の中を良くしていこうという考えは全くない。筆まめな人間ではないので、更新は週に一回くらいできればいいんじゃないかと思う。コメントを頂いたら可能な限り反応する予定だけれども、それは次の日かもしれないし、半年後になるかもしれない。

ということで宜しくお願い致します(´ー`)ノ

「教えて!goo」や「BIGLOBEなんでも相談室」といったQ&Aサイトに「monyupo」を名乗る方がいるようですが、私とは無関係ですので…嫌がらせっぽいですな。

あぁ、各都道府県警本部から北朝鮮関連情報を目当てにアクセスされる警察官の皆様、職務怠慢です。私のダイアリーから情報を得ようとするよりも、新聞や書籍、テレビなどから情報を得る努力をしたほうが有意義です。北朝鮮政府の微妙な言い回しを知りたいのなら、Nenaraが便利だと思いますよ。

明治四十年法律第四十五号より第三十三章

永井和京都大学教授の「日本軍の慰安所政策について」を読んでいたら、次の部分が目に留まった。

このような条件でなされる娼妓稼業契約は「身売り」とよばれ、これが人身売買として認定されておれば、大内の行為は「帝国外ニ移送スル目的ヲ以テ人ヲ売買」するものにほかならず、刑法第226条の人身売買罪に該当する。しかし、当時の法解釈では、このような条件での娼妓契約は「公序良俗」に違反する民法上無効な契約とはされても、少なくとも日本帝国内にとどまるかぎりは、刑法上の犯罪を構成する「人身売買」とはみなされなかった。

「日本帝国内にとどまるかぎりは、刑法上の犯罪を構成する『人身売買』とはみなされなかった」とあるのだが、旧刑法226条には「帝國外ニ移送スル目的ヲ以テ」と書いてあるだけであり、国内に留まるか否かは関係が無いように思える。暇な時間があれば、もう少し調べてみたいところだ。

第三十三章 略取及ビ誘拐ノ罪

第二百二十四條 
未成年者ノ略取又ハ誘拐シタル者ハ三月以上五年以下ノ懲役ニ処ス

第二百二十五條 
營利、猥褻又ハ結婚ノ目的ヲ以テ人ヲ略取又ハ誘拐シタル者ハ一年以上十年以下ノ懲役ニ処ス

第二百二十六條 
帝國外ニ移送スル目的ヲ以テ人ヲ略取又ハ誘拐シタル者ハ二年以上ノ有期懲役ニ処ス
帝國外ニ移送スル目的ヲ以テ人ヲ賣買シ又ハ被拐取者若クハ被賣者ヲ帝國外ニ移送シタル者亦同シ

第二百二十七條 
前三條ノ罪ヲ犯シタル者ヲ幇助スル目的ヲ以テ被拐取者又ハ被賣者ヲ収受若クハ藏匿シ又隠避セシメタル者ハ三月以上五年以下ノ懲役ニ処ス

第二百二十八條 
本章ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス

第二百二十九條 
第二百二十六條ノ罪、同條ノ罪ヲ幇助スル目的ヲ以テ犯シタル第二百二十七條第一項ノ罪及ヒ此等ノ罪ノ未遂罪ヲ除ク外本章ノ罪ハ營利ノ目的ニ出テサル場合ニ限リ告訴ヲ待テ之ヲ論ス但被拐取者又ハ被賣者犯人ト婚姻ヲ爲シタルトキハ婚姻ノ無効又ハ取消ノ裁判確定ノ後ニ非サレハ告訴ノ効ナシ 

10・3合意に関する朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマンの声明

荒唐無稽な妄想を捨てるべきである

米国が10・3合意の履行を引き続き回避し、世論をミスリードしていることに関連して、9月19日、朝鮮民主主義人民共和国外務省のスポークスマンは朝鮮中央通信社記者の質問に答えた。

その要旨は次のとおりである。

すでに明らかにしたように、われわれは、米国がわが国に対する「テロ支援国家」リスト削除措置の効力発生を無期延期したことに対応して核施設無能力化の作業を中断し、この前から寧ニョン辺ビョンの核施設を原状に復している。

これは、9・19共同声明と2・13合意、10・3合意によって規制されている「行動対行動」の原則にもとづく当然の論理的結果である。

ところが米国は、われわれの核申告書提出があたかも「国際的基準」にもとづく検証を前提としていたかのように世論を欺き、われわれの対応措置が6者の合意に反するものだと主張している。

「国際的基準」にもとづく申告書の検証が合意されてはじめて、わが国に対する「テロ支援国家」リスト削除措置が効力を生じることになっているとの主張は、これまでのすべての合意を全面的に歪曲する詭弁である。

核不拡散条約と国際原子力機関の加盟国でもないわが国に、「国際的基準」という美名のもとに「家宅捜索」を強要しようとする米国の企図は、いつになっても絶対に実現しない荒唐無稽な妄想にすぎない。

米国が再び本性を現した以上、われわれは「テロ支援国家」リストからの削除を望みもしなければ期待もせず、わが道を行くであろう。

(2008年9月20日 平壌)

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조선민주주의인민공화국 외무성대변인 대답

조선민주주의인민공화국 외무성대변인은 미국이 10.3합의리행을 계속 회피하면서 여론을 오도하고있는것과 관련하여 9월 19일 조선중앙통신사 기자가 제기한 질문에 다음과 같이 대답하였다.

이미 천명한바와 같이 우리는 미국이 우리 나라에 대한 《테로지원국》명단삭제조치의 효력발생을 무기한 연기한데 대응하여 핵시설무력화작업을 중단하였으며 얼마전부터 녕변핵시설들을 원상복구하고있다.

이것은 9.19공동성명과 2.13합의, 10.3합의에 의하여 규제된 《행동 대 행동》원칙에 따른 당연한 론리적 결과이다. 그런데 미국은 우리의 핵신고서제출이 마치 《국제적기준》에 따르는 검증을 전제로 했던것처럼 여론을 기만하면서 우리의 대응조치가 6자합의에 어긋나는것이라고 주장하고있다.

《국제적기준》에 따르는 신고서검증이 합의되여야 우리에 대한 《테로지원국》명단삭제조치가 효력을 발생하게 되여있다고 주장하는것은 지금까지의 모든 합의를 전면외곡하는 궤변이다.6자나 조미사이에 문건상으로는 물론 구두로도 이에 대해 합의된것은 전혀 없다.

10.3합의의 골자는 우리의 핵시설무력화와 핵계획신고 대 미국을 포함한 5자의 정치경제적보상이다. 《테로지원국》명단삭제조치는 바로 이 10.3합의에 따라 9.19공동성명리행의 2단계에서 결속되여야 할 미국의 의무이며 핵신고서검증과는 철저히 별개의 문제이다.
7월에 있은 6자단장회담에서 합의된 검증감시체계수립문제는 9.19공동성명에 따라 전 조선반도의 비핵화를 실현하는 단계에서 6자회담 참가국 모두에게 해당되는 검증을 실현하기 위한 조치로 예견된것이다. 그럼에도 불구하고 지금 미국은 우리가 검증을 회피하기때문에 비핵화과정이 교착상태에 빠진듯이 여론을 오도하면서 어리석게도 압력과 기만으로 우리를 일방적으로 핵무장해제시키려 하고있다.
어느 합의에도 없는 《국제적기준》의 신고서검증을 걸고 저들이 공약한 《테로지원국》명단삭제조치의 효력발생을 연기한 미국의 처사는 결국 우리에 대한 적대시정책을 더욱 강화하겠다는 진의도를 여실히 드러낸것으로 된다.

핵무기전파방지조약과 국제원자력기구 성원국도 아닌 우리에게 《국제적기준》의 미명하에 가택수색을 강요해보려는 미국의 기도는 언제가도 절대로 실현될수 없는 허황한 망상에 지나지 않는다.

미국의 본성이 다시금 명백해진 이상 우리는 《테로지원국》명단삭제를 바라지도 않고 기대하지도 않으며 우리대로 나가면 될것이다.

南方ニ於ケルインフレーションノ問題

 昭和18年の12月に日本銀行が出した「南方ニ於ケルインフレーションノ問題」というレポートがあるのだが、個人的には面白いと思うので、『戦時金融統計要覧 4巻』から引用してみる。例によって暇な時間を使っての作業なので、完成がいつになるかは未定。レポートの結語に「過度ノインフレハ……民生安定ニ重大ナル影響ヲ及ホスニ至ルヘク……其ノ対策ニハ充分慎重ヲ期スル要アルヘシ」とあるのだが、占領地の民生に配慮するような慎重さを日本が持ち合わせていたのなら、そもそも侵略などしなかっただろうと思うのだなぁ。

(一)通貨並ニ物価ノ現況
(イ)各地域通貨発行高ノ情況
 南方各域ニ於ケル最近ノ通貨発行高ハ邦貨換算ニテ仏印約六億五千万円、泰国約五億五千万円、南発券十八億円、占領地在来通貨約十二億円合計約四十二億円ニ上リ大東亜戦争直前ニ比シ二倍強ノ増加ヲ示シ居レリ、尤モ占領地ニ於テハ在来通貨ハ退蔵セラレ居ルモノ多ク又南発券発行高中ニハ委託支金庫及ヒ軍並ニ一般銀行ノ手持分、本行ニ保管ノ引換用ノモノ等ヲモ含メ居ルヲ以テ右在来通貨ト南発券ノ全部カ市場ニ流通シ居ル次第ニハ非サルモ、最近半ヶ年間ニ於ケル南発券発行高ノ増勢ハ特ニ顕著ナルモノアリ。更ニ今後ビルマ作戦ノ進展ニ伴ヒ泰・ビルマヲ首メ南方一般ニ軍費調達ヲ原因トスル通貨膨張ノ傾向ハ一層拍車ヲ加ヘルモノト思考セラル

 尚占領地ノ一部ニ於テ在来通貨ハ南発券ニ対シ或ル程度ノプレミアヲ生ジ居ル模様ナルカ右ハ主トシテ戦局其他ノ政治上ノ原因ニ基クモノニシテ、インフレ問題ノ対象トシテ論スルコトハ妥当ナラサルモノト考ヘラル


(A)南方各地域通貨流通高ノ戦前トノ比較   (単位 千銖・比弗・留比・比・弗・盾)

仏印 ビルマ 比島 マライ 北ボルネオ 東印度 軍票(南発券)
戦争直前 297,300 279,600 266,000 241,900 210,000 15,000 618,000 0 1,927,800
18年9月末 550,000 650,000 160,000 206,000 213,000 13,000 634,000 1,820,000 4,246,000
比較増減 252,700 370,400 −106,000 −35,900 3,000 −2,000 16,000 1,820,000 2,318,200


(B)軍票(南発券)発行高   (単位千円)

盾券 弗券 比券 留比券 磅券銖
昭和18.4.1現在 333,247 218,126 156,625 270,662 53,050 1,031,710
昭和18.9.30現在 537,265 384,937 347,808 497,011 53,050 1,820,071
比較増加 204,018 166,811 191,183 226,349 0 788,361
61.2 76.4 122.8 83.6 0 76.4


(ロ)各地域物価ノ情勢
 占領地ニ於ケル物価 

東南アジア諸地域通貨発行高及物価指数

 「はてな記法」の勉強を兼ねて、表を作ってみた。以前にscopedogさんが「従軍慰安婦問題・慰安婦高額報酬説のトリック」というエントリにおいて『日本軍政下のアジア』にあるグラフを利用していたのだけれど、表はそのグラフの元資料。数字及び注は、日本銀行が発行した『戦時金融統計要覧 4巻』から引用。

マレイ(シンガポール) ボルネオ(クチン) ジャワ(バタビヤ)
昭和年月 通貨発行高 物価指数 通貨発行高 物価指数 通貨発行高 物価指数
16.12 千海峡ドル 100 千海峡ドル 100 千グルデン 100
17.3 - - - - - 102
17.6 - - - - - 140
17.9 - - - - - 139
17.12 143,536 352 4,692 114 56,678 134
18.3 143,536 405 9,523 128 97,551 150
18.6 232,802 807 11,311 141 60,074 166
18.9 - - - - - 199
18.12 411,143 1,201 14,451 153 133,770 227
19.3 - 2,922 - - - 304
19.6 729,613 4,469 21,520 388 357,646 492
19.9 - 6,471 - - - 1,279
19.12 1,402,096 10,766 35,580 827 665,678 -
20.3 1,971,545 - 46,386 - 861,659 1,752
20.6 3,025,895 - 64,129 - 1,174,555 2,421
20.8 5,570,000 35,000 70,473 4,000 1,443,866 3,197
スマトラ(メダン) ビルマ(ラングーン) フィリッピン(マニラ)
昭和年月 通貨発行高 物価指数 通貨発行高 物価指数 通貨発行高 物価指数
16.12 千グルデン 100 千ルピー 100 千ペソ 100
17.3 - - - - -
17.6 - - 33,526 - - -
17.9 - - 69,381 - 72,977 186
17.12 25,828 308 136,986 - 105,545 200
18.3 65,998 384 210,139 705 134,963 245
18.6 84,925 432 326,665 900 228,857 247
18.9 - - 477,834 1,253 329,490 437
18.12 234,690 707 664,215 1,718 496,538 1,196
19.3 - - 1,051,555 2,629 698,845 1,976
19.6 477,313 986 1,544,197 3,635 1,115,299 5,154
19.9 - 1,279 1,985,018 5,765 2,334,933 14,084
19.12 797,726 1,698 2,773,716 8,707 4,948,160 14,285
20.3 980,375 2,253 3,745,848 12,700 5,400,000 14,285
20.6 1,230,553 3,252 4,407,317 30,629 - -
20.8 1,349,332 3,300 5,655,548 185,648 - -

資料 日本銀行外事局調。
備考 通貨発行高ハ南方開発金庫券発行高デアル。通貨単位ノ各称ハ地域ニヨツテ違ツテヰルガ、全部円ト等価デアル。

 昭和18年12月に出された『南方ニ於ケルインフレーションノ問題』という日本銀行のレポートに「本邦ト南方各地域トノ資金交流ハ本邦並ニ現地為替管理法令ノ規制スルトコロナルカ、特ニ占領地域トノ資金交流ハ軍関係ノモノヲ除外シ原則トシテ之ヲ認メサルコトトシ、僅ニ例外的措置トシテ必要止ムヲ得サルモノノミカ認メラレ居ルニ過キス、然モ現地ニ於ケル為替取扱機関ハ総テ本邦側銀行カ之ヲ掌握シ為替管理ノ徹底ヲ期シ居レリ」とあることからも分かるように、南方開発金庫券と内地円との交換は原則として行われなかった。

七、朝鮮内ニ於ケル労務規則ノ状況並ニ学校報国隊ノ活動状況如何

 前回は内務省嘱託の小暮泰用から内務省管理局長竹内徳治に提出した復命書から「六、内地移住労務者送出家庭ノ実情」の部分をテキスト化してみたのだが、今回はその続きで「七、朝鮮内ニ於ケル労務規則ノ状況並ニ学校報国隊ノ活動状況如何」をテキスト化してみたい(暇な時間を使って少しずつ作業をするので、完成がいつになるかは分からない)。

(ハ)、動員ノ実情
徴用ハ別トシテ其ノ他如何ナル方式ニ依ルモ出動ハ全ク拉致同様ナ状態デアル

其レハ若シ事前ニ於テ之ヲ知ラセバ皆逃亡スルカラデアル、ソコデ夜襲、誘出、其ノ他各種ノ方策ヲ講ジテ人質的掠奪拉致ノ事例ガ多クナルノデアル、何故ニ事前ニ知ラセレバ彼等ハ逃亡スルカ、要スルニソコニハ彼等ヲ精神的ニ惹付ケル何物モナカツタコトカラ生ズルモノト思ワレル、内鮮ヲ通ジテ労務管理ノ拙悪極マルコトハ往々ニシテ彼等ノ良心ヲ破壊スルコトノミナラズ残留家族ノ生活困難乃至破滅ガ婁々アツタカラデアル

殊ニ西北朝鮮地方ノ労務管理ハ全ク御話ニナラナイ程残酷デアル、故ニ彼等ハ寧ロ軍関係ノ事業ニ徴用サレルノヲ希望スル程デアル

斯クテ朝鮮内ノ労務規制ハ全ク予期ノ成績ヲ挙ゲテヰナイ、如何ニシテ円満ニ出動サセルカ、如何ニシテ逃亡ヲ防止スルカガ朝鮮内ニ於ケル労務規制ノ焦点トナツテヰル現状デアル

『戦時期植民地統治資料 第7巻』の他、アジア歴史資料センターにおいても公開されている。レファレンスコードはB02031286700。

六、内地移住労務者送出家庭ノ実情

 図書館で調べ物をしている時に、内務省嘱託の小暮泰用から内務省管理局長竹内徳治に提出した復命書が目に付いた。まぁ、色々と役に立ちそうな感じなので、暇な時間を利用してテキスト化してみようと思う。『戦時期植民地統治資料 第7巻』の他、アジア歴史資料センターにおいても公開されている。レファレンスコードはB02031286700。

六、内地移住労務者送出家庭ノ実情

 従来朝鮮ニ於ケル労務資源ハ一般ニ豊富低廉ト云ハレテ来タガ支那事変ガ始ツテ以来朝鮮ノ大陸前進兵站基地トシテノ重要性ガ非常ニ高マリ各種ノ重要産業ガ急激ニ勃興シ朝鮮自体ニ封スル労務事情モ急激ニ変リ従ツテ内地向ノ労務供出ノ需要調整ニ相当困難ヲ生ジテ来タノデアル、更ニ朝鮮労務者ノ内地移住ハ単ニ労力問題ニ止ラズ内鮮一体ト云フ見地カラシテ大キナ政治問題トモ見ラレルノデアル

 然シ戦争ニ勝ツ為ニハ斯クノ如キ多少ノ困難ナ事情ニアツテモ国家ノ至上命令ニ依ツテ無理ニデモ内地ヘ送リ出サナケレバナラナイ今日デアル、然ラバ無理ヲ押シテ内地ヘ送出サレタ朝鮮人労務者ノ残留家庭ノ実情ハ果タシテ如何デアラウカ、一言ヲ以テ之ヲ云フナラバ実ニ惨憺目ニ余ルモノガアルト云ツテモ過言デハナイ

 蓋シ朝鮮人労務者ノ内地送出ノ実情ニ当ツテノ人質的掠奪的拉致等ガ朝鮮民情ニ及ボス悪影響モサルコト乍ラ送出即チ彼等ノ家計収入ノ停止ヲ意味スル場合ガ極メテ多イ様デアル、其ノ詳細ナル統計ハ明カデナイガ最近ノ一例ヲ挙ゲテ其ノ間ノ実情ヲ考察スルニ次ノ様デアル

 大邸府斡旋ニ係ル山口県下沖宇部炭鉱労務者九百六十七人ニ就テ調査シテ見ルト一人平均平均月七十六円二十六銭ノ内稼働先ノ諸支出月平均六十二円五十八銭ヲ控除シ残額十三円六十八銭ガ毎月一人当リノ純収入ニシテ謂ハバ之が家族ノ生活費用ニ充テラレルベキモノデアル

 斯ノ如ク一人当リノ月収入ハ極メテ僅少ニシテ何人モ現下ノ如き物価高ノ時ニ之ニテ残留家族ガ生活出来ルトハ考ヘラレナイ事実デアリ、更ニ次ノ様ナコトニ依ツテ一層激化サレルノデアル

(イ)、右ノ純収入ノ中カラ若干労務者自身ノ私的支出ガアルコト

(ロ)、内地ニ於ケル稼先地元ノ貯蓄目標達成ト逃亡防止策トシテノ貯金ノ半強制的実施及払出ノ事実上ノ禁止等ガアツテ到底右金額ノ送金ハ不可能デアルコト

(ハ)、平均額ガ右ノ通リデアツテ個別的ニハ多寡ノ凹凸ガアリ中ニハ病気等ノ為赤字収入ノ者モアルコト、而モ収入ノ多イ者ト雖モ其レハ問題ニナラナイ程ノ極メテ僅少ナ送金額デアルコト

 以上ノ如クニシテ彼等トシテハ此ノ労務送出ハ家計収入ノ停止トナルノデアリ況ヤ作業中不具廃疾トナリテ帰還セル場合ニ於テハ其ノ家庭ニトツテハ更ニ一家ノ破滅トモナルノデアル

 然シ之等ノ事情ニ対スル異論モアル様デアル、即チ労務援護ヤ労務協会ノコトヤ残留家族殊ニ婦人ノ積極的活動ニ依ル収入確保等ガアルデハナイカト云フノガ其レデアルガ、然シ朝鮮ノ労務援護ニ就テ云ヘバ左ノ如キ二ツノ方法ガアルデアラウ、一ツハ隣保相助ヲ挙グルデアラウガ、之レモ朝鮮ノ農民ト労働者ノ大衆ハ未ダ斯ル良風美俗ノ実践者タル為ニハ余リニモ貧困過ギル現状デアリ、其ノ二ハ労務協会ノ援護デアルガ之レモ労務者一人当リ五円ヲ財源トスル本会ノ実情ハ之ノ予算モ現実的ニハ宴会其ノ他ノ費用ニ充テラレテ居ル現状デアル

 更ニ残留家族殊ニ婦女子ノ労働ハドウデアルカニ就テ調査シテ見ルニ、朝鮮ノ都市ニ於テノ一家支柱タリシ男子ニ残留婦女子ガ代替シ得ルコトノ出来ナイコトハ固ヨリデアルガ農村ニ於テモ土壌ノ瘠薄性ト耕種法殊ニ農具ノ未発達、高率ノ小作料、旱水害、其ノ他各種夫役等ノ増加ノ多イ今日ニ於テハ全家族総動員シテ労務ニ従事シ以テ漸ク家計ヲ維持シタル農民ガ戸主又ハ長男等ノ働キ手ヲ送出シタル後婦女子ノ労働ヲシテ其ノ損失ヲ補償代替更ニ進ンデハ家計ノ好転ヲ図リ得ナイコトハ明白ナ事実デアツテ、此ノ点自然的条件ニ恵マレ耕種法其ノ他営農ノ発達シタル内地農村ト同一ニ考ヘルコトハ出来ナイノデアル、况ヤ朝鮮農村ノ婦女子ハ其ノ九割以上ガ殆ンド無教育デアリ青少年ハ徴兵実施ト其レニ伴フ各種ノ練成其ノ他ノ行事ノ為ニ実際的ニハ働手タル意義ヲ大イニ減殺サレテ居ルノデアル

 斯シテ送出後ノ家計ハ如何ナル形ニ於テモ補ハレナイ場合ガ多イ、以上ヲ要スルニ送出ハ彼等家計収入ノ停止トナリ作業契約期間ノ更新等ニ依リ長期ニ亘ルトキハ破滅ヲ招来スル者ガ極メテ多イノデアル、音信不通、